ジャム、はちみつ、ピーナッツバター……
私はかつてなんでも隅々まできれいに塗り広げたい病にかかっていました。
どこを齧っても、同じくらいの濃さの味がする。
それが正しいトーストのあるべき姿だと思い込んでいたのかもしれません。
それがこの何年かの間でだいぶ変わってきて、朝のトーストの見た目も以前とは違うものになりました。
今回はそんな今の私が好んで作っている〈はちみつチーズトースト〉を紹介してみようと思います。
目次
【材料】
- 食パン
- とろけるチーズ
- はちみつ
- ホワイトペッパー
【作り方】
- 食パンの表面に、一口大くらいの間隔で格子型の切れ目を入れておく(食べるとき指で千切りやすいようにするため)
- とろけるチーズを乗せて、軽く焦げ目がついてくるまでトースターで焼く
- 好きなように好きなだけ、上からハチミツを垂らし、ホワイトペッパーを振る
トースターから出したばかりのチーズは熱々。
まだくつくついうその上を、ゆっくり流れるはちみつを見守ります。
作るたびに、仕上がりはほんの少しずつ違うけれど、自分の気持ちに素直に作ったものはいつだっておいしそう。
始めに入れておいた切れ目に添って指で千切ると、とろーっと伸びるチーズの上をはちみつが伝い落ちていきます。
プーさんになった気持ちで、指をベタベタにしながら食べるのもまたいい。
私は最近こんなふうに、全体的に味を均すようなことはあえてしないで、日によって違う偏りを楽しんでいるところがあります。
変化する味を楽しめるというのは、ある意味心に余裕が生まれているのかもしれません。
(そういえば以前、〈マヨ囲い♡卵おとしトースト〉の記事でも、食べ進めると味が変わっていくことを魅力として語っていました。)
余談ですがかつて私は随分長い間、万年ダイエッターだった時期があります。
これだけしか食べてはいけない、と自分でルールとして決めた量を意識的に用意するようになると、食事中も今食べているものを楽しむよりも、”これを食べ終わってしまうのが惜しい”という気持ちが先行してしまうようになりました。
すると結果的に食事に対する満足感が得られにくくなり、結局食後にもだらだらと他のものをつまんでしまったり。
特別にはちみつの浸みた箇所を食べる瞬間の喜びよりも、一番甘いところを一口で食べ切ってしまうことに対する勿体なさ、が勝ってしまうようなところがあった。
今から思えば、トーストにいろんなものを執拗にまんべんなく塗り広げようとしていたのには、そんな心理的背景もあったのかもしれないですね。
思いがけずはちみつがよく浸みた箇所を齧り取ったときに生まれる、ちょっとした驚きとうれしさ。
それはほんとにちょっとしたことで、はっきりとした形で記憶に残り続けるわけでもないのだけれど、その日の食事を確かにちょっぴり特別なものにしてくれるように今は感じています。